都会は魅力的です。しかし、都会はそれ自身で存在することができません。食料が必要ですし、憩う場所も必要です。背後に、都会を囲む大きな自然の空間が必要なのです。
人間は、自然にはたらきかけ、自然を改造しながら生きてきました。もちろん、手をつけないままの領域も人間にとって、また自然自身にとっても必要です。農業土木の対象は、この自然界と人間活動が直接的なかかわりをもつ広大な地域空間です。そこを、生産性の高い農地と、快適でしかも自然と調和した生活ができる場所にする必要があるのです。それは、必要以上に自然を変え人類の生存を脅かさないためにも大切なことです。
日本では、この対象地域は山岳や山林などを除く可住地面積の90%を占め、環境と人間の活動を支える重要な役割を担っています。
私たちはこれまで先人が築き上げてきた農地や水利施設を「生かす技術」、「守る技術」を磨き、社会資本整備の一端を担う責任を自覚し、新しい時代の国土創りに貢献できるよう日々努力をしています。